「フリーランスになれば、満員電車からも人間関係のストレスからも解放される」 「会社に搾取されず、稼いだ分だけ自分の収入になる」
そう夢見て独立したものの、数年後に「こんなはずじゃなかった」と頭を抱える人が後を絶ちません。
実は今、フリーランスから正社員に戻る「出戻り転職」が激増しているのをご存知でしょうか?
2026年1月、連続起業家の溝口勇児氏による以下のツイートが大きな話題となりました。
フリーランスって聞くと、自由でスマートで、賢い選択に見える。
— 溝口勇児 | 連続起業家 (@mizoguchi_yuji) January 21, 2026
たしかに、同じ仕事でも会社員よりお金は入るし、時間も融通が利く。
...(中略)...
でもそれはおれに言わせると、成長じゃなくて前借りなんだよね。
スキルを積み上げてるようで、実は現有能力の切り売りをしているだけ。
自分の能力はあまり拡張しない。
それに気づかないまま年齢を重ねると、ある日いきなり詰む。
この記事では、衝撃的なデータとともに「フリーランス・バブルの崩壊」の実態を解説し、40代で「詰む」ことを回避するためのキャリア防衛策を徹底的に掘り下げます。
【データで見る】なぜ今、みんな会社員に戻っているのか?
「自由な働き方」の代表格だったフリーランスですが、潮目は完全に変わりました。
リクルートやパーソルキャリアの最新データ(2024年4~9月期)によると、フリーランスから会社員への「出戻り転職」は、5年前と比較して約3倍(280%~300%)に急増しています。
【フリーランス市場の厳しい現実(2024-2025年版)】
- 正社員回帰率: 5年前比 約3倍 に増加
- 収入の実態: 専業フリーランスの 約32% が「月収0円の月」を経験(不安定化)
- 低年収層: フリーランスの約45%以上が年収200万円未満(副業含む)
- 不満度: 「収入の不安定さ」への不満が全項目中でワースト1位
崩壊を引き起こした "3つの要因"
なぜここまで状況が悪化したのでしょうか? 主な理由は以下の3点です。
- 市場の飽和と単価下落: コロナ禍で参入者が爆増した結果、クラウドソーシング等での価格競争が激化。「誰でもできる仕事」の単価は以前の半分以下になることも珍しくありません。
- 生成AIによる代替: ライティング、翻訳、簡単なコーディング、イラスト作成など、これまでフリーランスが担っていた「中級スキル」の領域が、ChatGPTやMidjourneyに置き換わりました。
- インボイス制度と物価高: 事務負担の増加に加え、物価上昇が直撃。会社員ならインフレ手当やベア(ベースアップ)が期待できますが、フリーランスは単価交渉ができなければ実質賃下げです。
【徹底比較】フリーランス vs 正社員:見落としがちな「生涯コスト」
「手取りが増えるから」という理由だけで独立するのは危険です。目先のキャッシュフローだけでなく、長期的な「資産形成」と「リスク」を比較してみましょう。
| 項目 | フリーランス(個人事業主) | 正社員(企業所属) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 手取り収入 | 多い(税金・社保をある程度経費操作可能) | 少ない(天引きが多い) | 🔺 フリーランス |
| スキルの質 | 現有能力の切り売りになりがち。 教育制度はなく、全て自己投資が必要。 |
組織・マネジメントを学べる。 会社のお金で研修や新しい技術に触れられる。 |
⭕ 正社員 |
| 社会的信用 | 極めて低い(住宅ローン、クレカ審査で苦戦) | 高い(勤続年数だけで評価される) | ⭕ 正社員 |
| セーフティ | 全て自己責任。 病気=収入ゼロ。休業補償なし。 |
厚手。 傷病手当、有給休暇、雇用保険あり。 |
⭕ 正社員 |
| 老後 | 国民年金のみ(月6万円台)。 iDeCo等で自衛必須。 |
厚生年金+企業年金。 「2階建て」で安定。 |
⭕ 正社員 |
| 40代以降 | 体力低下・単価減のダブルパンチ。 若手との価格競争に勝てなくなる。 |
マネジメント層へ昇格すれば年収UP。 雇用は守られる。 |
⭕ 正社員 |
表を見ると一目瞭然です。フリーランスは「現在の自由」と引き換えに「未来の安定と成長機会」をコストとして支払っている状態と言えます。
実務でハマる「出戻り転職」の壁と対策(トラブルシューティング)
「じゃあ、厳しくなったら会社員に戻ればいいや」
そう軽く考えているなら要注意です。「一度レールを外れた人間」に対する企業の目は、想像以上に厳しいのが現実です。
特に40代を超えると、そのハードルは「壁」となって立ちはだかります。
壁①:年収のミスマッチ
- ハマりポイント: 「フリーランス時代は年収800万円(売上)だったので、正社員でも700万円は欲しい」と希望する。
- 現実: 企業側の提示は「500万円」。なぜなら、フリーランスの売上には「営業経費」「設備費」「リスクヘッジ費」が含まれていると見なされるからです。また、組織管理の経験がないおじさんは、新卒のリーダーの下につくことになり、高給は出せません。
- 対策: 「手取り」ではなく「生涯年収+福利厚生」で計算すること。社保折半や有給、退職金を考慮すれば、額面が2割下がっても実質はプラスになることが多いです。
壁②:スキルセットの偏り
- ハマりポイント: 「Javaで10年開発してました」と技術力だけをアピールする。
- 現実: 企業が中途採用(特に30代後半以降)に求めるのは、コードを書く力よりも「チームを動かす力」「要件定義能力」「若手の育成」です。一匹狼の職人は、使いにくいと判断されがちです。
- 対策:
職務経歴書では、技術スタックの羅列だけでなく、以下を強調しましょう。
- 顧客折衝経験: クライアントの曖昧な要望をどう具体化したか。
- 自律的な進捗管理: 納期を守るためにどう工夫したか。
- コスト意識: 予算内でどう成果を最大化したか。 これらは「ビジネススキル」として高く評価されます。
結論:これからの時代の「最適解」とは?
「フリーランスは危険だから辞めろ」と言いたいわけではありません。 重要なのは、「いつでも行き来できる状態(市場価値)」を維持することです。
- 「個」の力: いつでも独立できるスキルを持つ。
- 「組織」の力: チームで大きな成果を出す経験を持つ。
この両方を行き来できる人こそが、真の「安定」を手に入れます。
もし今、あなたがフリーランスで「最近、成長していないな」「単価が上がらないな」と感じているなら、それは黄色信号です。手遅れになる前に、一度立ち止まって「キャリアの棚卸し」をしてみることを強くお勧めします。

参考リンク・動画
【関連動画:フリーランスのリアル】