「日本の電気代を 0 円にする」
そんな衝撃的なキャッチコピーと共に、青汁王子こと実業家の三崎優太氏が新プロジェクト「電気ゼロ(Denki Zero)」を本格始動させました。
SNS では「本当に無料になるの?」「怪しいビジネスではないか?」といった期待と不安の声が飛び交っています。また、関連銘柄とされる株価の乱高下も話題となりました。
今回は、三崎優太氏の「電気ゼロ」プロジェクトについて、公式サイトの情報やビジネスモデルの仕組み、そして「導入して本当に損をしないのか?」という損益分岐の観点まで、客観的な情報を元に徹底的に深掘りします。
1. 「電気ゼロ(Denki Zero)」プロジェクトとは?
まず、このプロジェクトの概要を整理しましょう。運営元は、三崎優太氏が CEO を務める「株式会社でんき 0」です。
基本スペック・運営情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | でんき 0(Denki Zero) |
| 運営会社 | 株式会社でんき 0 |
| 代表者 | 三崎優太(CEO) |
| 公式サイト | https://denki-zero.jp/ |
| 主な事業 | 太陽光パネル・蓄電池の販売、電力買取、環境価値取引 |
| 開始日 | 2026 年 1 月 13 日 本格始動 |
このプロジェクトは、単なる「新電力会社への乗り換え」ではありません。「自宅に発電所を持つ」というインフラ改革に近いモデルです。
2. 「電気代 0 円」のカラクリと仕組み
多くの人が疑問に思う「どうやって電気代を 0 円にするのか?」という点について解説します。結論から言うと、「無条件で 24 時間 365 日 0 円になるわけではない」という点に注意が必要です。
① 「0 円」になるのは特定のプランと時間帯
公式サイトでも触れられていますが、提供される「くらし 0 でんき」プランなどで「毎日 12:00〜13:00 の 1 時間は電気代が 0 円」といったサービス設計になっています。すべての時間が無料になるわけではありません。
② 本当の狙いは「自家消費」+「売電」
このビジネスモデルの核は以下のループです。
- 自宅で発電:太陽光パネルで電気を作る。
- 自家消費:作った電気を自分で使う(この分は電力会社から買わなくて良い= 0 円)。
- 蓄電:余った電気を蓄電池に貯めて、夜間に使う。
- 売電:それでも余った電気を「でんき 0」が高値で買い取る。
特に重要なのが「余剰電力の買取価格」です。通常、国の FIT(固定価格買取制度)による買取価格は年々下がっていますが、「でんき 0」はFIT 価格よりも高い金額で 20 年間買い取ることを掲げています。企業側は、買い取った電力に付随する「環境価値(J-クレジット等)」を大企業に販売することで利益を得る仕組みです。
3. 導入にかかる費用と損益分岐点のリアル
もっとも重要な「お金」の話です。「電気代が安くなる」と言っても、初期費用が莫大であれば意味がありません。
初期費用の目安
一般的に、家庭用の太陽光パネルと大容量蓄電池をセットで導入する場合、200 万円〜300 万円前後の費用がかかると言われています(メーカーや設置容量による)。
- 太陽光パネル:約 80〜120 万円
- 蓄電池:約 100〜180 万円
- 工事費:約 20〜40 万円
回収まで何年かかる?
仮に初期費用が 250 万円かかったとして、毎月の電気代削減効果と売電収入で月 1 万円のメリットが出たと仮定します。
- 年間メリット:12 万円
- 250 万円 ÷ 12 万円 ≒ 約 20.8 年
単純計算では、元を取るのに 20 年以上かかる計算になります。もちろん、電気代高騰が続けばメリットは大きくなりますが、システムには寿命(パワーコンディショナーの交換など)やメンテナンス費用も発生します。
三崎氏自身も過去の発言などで「実質負担を限りなくゼロに近づける」ことを目指していると思われますが、導入前に各家庭での厳密なシミュレーションが必須です。
4. このプロジェクトのメリット・デメリット
ここまでの情報を整理して、メリットとデメリット(注意点)をまとめます。
メリット
- 再エネ賦課金の削減:電気代の一部である「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、電力会社から買った電気にかかります。自家発電すれば、このコストをカットできます。
- 災害への強さ:蓄電池があれば、停電時でも電気が使えます。これは金銭換算できない大きな安心材料です。
- 環境貢献:CO2 削減に直接貢献できます。
デメリット・注意点(ここが重要!)
- 初期投資のリスク:数百万円のローンを組むことになります。20 年という長期契約中に引っ越しや家の建て替えが必要になった場合のリスクを考える必要があります。
- 「S サイエンス」株価の乱高下:三崎氏は関連銘柄とされる「S サイエンス(5721)」の株を全て売却したと公表しましたが、その後、三崎未来ホールディングスとの業務提携が発表されるなど、株式市場での動きが激しくなっています。事業の安定性という意味では、今後の動向を注視する必要があります。
- 屋根の条件:日当たりが悪い、屋根が小さい、北向きである等の場合、発電効率が落ちてシミュレーション通りの結果が出ない可能性があります。
5. 結論:誰におすすめ?
「電気ゼロ」プロジェクトは、夢のある話ですが、魔法ではありません。地に足のついた投資判断が必要です。
おすすめできる人
- 戸建て持ち家で、築浅(今後 20 年以上住む予定)の方。
- 屋根が広く、日当たりが良い立地の方。
- 「電気代削減」だけでなく「防災(蓄電池)」に価値を感じる方。
慎重になるべき人
- 近いうちに引っ越しの可能性がある方。
- 初期費用のローン返済に不安がある方。
- 「完全に無料になる」と誤解している方。
三崎優太氏の「既得権益に切り込む」という姿勢は非常に応援したいポイントですが、消費者としては契約内容を冷静に見極めることが大切です。まずは公式サイトで詳細を確認し、自分の家の条件でシミュレーションしてみることをおすすめします。
