「いじめられている」と子供が訴えているのに、学校が動いてくれない。 むしろ、「ふざけ合っていただけ」「いじめとは断定できない」と問題を矮小化された——。
そんなニュースを目にするたび、「なぜ先生たちは子供を守らないんだ!」と憤りを感じる人は多いはずです。 しかし、その原因が「先生の性格」ではなく「学校の評価システム」にあるとしたらどうでしょうか?
2026年1月、GACKT氏による以下のツイートが本質を突いていると話題になりました。
【イジメ】があるのは昔から変わらない。
— GACKT (@GACKT) January 22, 2026
では、なぜ令和になった今も
“学校が動かない”
という事態が繰り返されるのか。
理由は単純。
学校も教育委員会も、
減点方式で評価される組織だから。
...(中略)...
イジメを
“イジメだと認める”
それは
“不祥事が自分の学校で起きていると認める”
こととなる。
この記事では、きれいごと抜きの「学校組織の裏側」と、その構造的欠陥について徹底解説します。
なぜ「いじめ=減点」になるのか?

1. 教師と学校長の「評価」の仕組み
公立学校において、「何事もなく平穏無事であること」は最強の実績です。 逆に、「いじめ重大事態」が発生すれば、それは学校運営の失敗(=不祥事)と見なされる傾向が現場には根強く残っています。
- 校長の論理: いじめ件数が公になると、教育委員会からの指導が入ったり、退職金や再就職先に響く可能性がある。
- 担任の論理: 「クラス運営ができていない能力不足な教師」というレッテルを貼られたくない。また、対応業務で殺人的な忙しさになる(後述)。
この「事なかれ主義」のインセンティブが働く限り、初期対応は常に「様子見(=放置)」に傾きやすくなります。
2. 文科省の建前 vs 現場の本音
実は文部科学省は近年方針転換し、「いじめ認知件数が多い学校は、積極的に見つけている良い学校(加点評価)」とする通知を出しています。
しかし、現場の実態は乖離しています。
| 項目 | 文科省の方針(理想) | 現場のリアリティ(現実) |
|---|---|---|
| いじめ認知 | 些細なことでも認知し、早期解決を目指す。認知件数は多い方が良い。 | 認知すればするほど、報告書作成や保護者対応などの業務量が爆増するだけで、給料は1円も上がらない。 |
| 評価基準 | いじめの早期発見・組織的対応を評価。 | 「問題児の親への対応」に追われ、他の生徒の授業準備ができなくなるなら、見なかったことにする方が合理的と判断される。 |
| 解決 | スクールカウンセラーや警察と連携。 | 外部を入れると「オオゴト」になり、地域やPTAでの評判が下がることを恐れる。 |
「拡散しないと動かない」という絶望的な構造
GACKT氏も指摘するように、結果として学校が動くのは「SNSで拡散されて外圧がかかった時」だけという異常な事態が起きています。
- 学校内で相談(もみ消される)
- 教育委員会に相談(学校に差し戻される)
- SNSで暴露・拡散(ここで初めて動く)
これは「拡散が正義か暴力か」という議論以前に、「内部の自浄作用が機能不全に陥っている」ことの証明です。
先生たちの悲鳴:物理的に無理な「多忙さ」
忘れてはいけないのは、教師側のキャパシティオーバーです。 日本の教員の勤務時間は世界最長レベル。授業、部活、事務作業に加え、モンスターペアレント対応まで強いられています。
「いじめ対応」は極めて高カロリーな業務です。 「減点される上に、仕事が倍増する」という罰ゲームのような仕組みの中で、正義感だけで戦える教師は稀有な存在なのです。
親ができること:学校に期待しすぎない生存戦略
この構造が変わるには時間がかかります。では、今現在、子供を持つ親はどうすればいいのでしょうか? トラブルシューティングとして以下の対策を推奨します。
1. 証拠の保全(客観的事実を用意する)
感情的に訴えても「子供同士のトラブル」で片付けられます。
- いつ、どこで、誰に、何をされたかを日記に残す。
- LINEのスクリーンショット、持ち物が壊された写真などを保存する。
- ボイスレコーダーを持たせる(いじめの証拠として有効な場合が多い)。
2. 「学校外」の逃げ場を作る
「学校に行かない=人生終了」という価値観を、まず親が捨てることです。 フリースクール、習い事、オンラインコミュニティなど、「学校以外に自分の居場所がある」という事実は、子供の心を救う命綱になります。
3. 交渉は「点数」を逆手に取る
学校側が「評価(世間体や責任問題)」を気にしているなら、それを逆手に取ります。 「いじめを解決した実績としてアピールしませんか?(協力姿勢)」と持ちかけつつ、「対応しなければ外部(弁護士や警察、メディア)に相談せざるを得ない(リスク提示)」と冷静に伝えることが、重い腰を上げさせる鍵になります。
まとめ
学校のいじめ隠蔽は、個人の資質の問題ではなく、「正直者が損をする評価システム」が生み出した必然の結果です。
私たち大人がすべきことは、学校や先生を叩くことだけではありません。 教員がいじめを報告した際に「よく見つけた!」と称賛・昇給される仕組みや、第三者機関が即座に介入できる制度を求めていくことです。
そして何より、子供に対して「学校が世界の全てではない」と伝え続けることが、最大の防御策になるはずです。