髪を切った直後の2月9日。東海地方の気温は8度。
「めちゃくちゃ寒い」と思わず呟いた瞬間、ふと考えました。
「1月と2月を海外で過ごす」という選択肢は、日本人としてどうなのか?
侘び寂びを感じながら冬を受け入れるのが美徳なのか、それとも人生を最大化させるために寒さから逃げるのもアリなのか。
リモートワークが当たり前になった2026年、この問いに真剣に向き合ってみました。

なぜ「冬から逃げる」ことを考えたのか
体感した東海地方の厳しさ
2月9日の東海地方は、今年一番の寒さでした。気温8度。髪を切ったばかりの頭に冷たい風が突き刺さります。
仕事はそれなりにこなせました。
でも、寒さのせいで気合が入らない。お腹も空く。継続が一番大事だと自分に言い聞かせながら、ふと思ったんです。
「この寒さ、毎年2ヶ月も我慢する必要あるのかな?」
冬季うつ病(SAD)という科学的根拠
調べてみると、冬の気分の落ち込みには科学的な根拠がありました。
【冬季うつ病(季節性感情障害:SAD)とは】
冬季うつ病(Seasonal Affective Disorder)は、秋から冬にかけて繰り返し発生する気分障害です。春になると自然に改善するのが特徴です。
主な原因:
- 日照時間の減少: セロトニン(気分調整の神経伝達物質)の分泌量が減少
- メラトニンの増加: 睡眠ホルモンが過剰になり、過眠や倦怠感を引き起こす
- 体内時計の乱れ: 日照時間の変化により生活リズムが崩れる
特徴的な症状:
- 気分の落ち込み、やる気の低下
- 過眠(寝ても寝ても眠い、朝起きられない)
- 過食(特に炭水化物や甘いものへの渇望)
- 集中力の低下
- 社会活動の減少
効果的な対策:
- 日光を浴びる: 特に午前中の朝日が効果的
- 光療法: 2,500〜10,000ルクスの高照度光を浴びる医療行為
- ビタミンDの摂取: 魚介類、卵、きのこ類など
- 規則正しい生活: 体内時計を整える
- 専門家への相談: 症状が重い場合は心療内科へ
つまり、冬に気分が落ち込むのは「気のせい」ではなく、生理的な現象なんです。
「寒さから逃げる」というのは、単なる怠惰ではなく、科学的に理にかなった健康戦略とも言えます。
2つの生き方:侘び寂び派 vs 充電期間派
冬の過ごし方には、大きく2つの哲学があると思います。
侘び寂び派:冬を受け入れて楽しむ
日本には「侘び寂び」という美意識があります。
- 冬の厳しさを受け入れ、その中に美を見出す
- 寒さがあるからこそ、春の喜びが際立つ
- 四季の移ろいを全身で感じることが、日本人らしさ
この考え方には、深い説得力があります。
実際、冬ならではの楽しみもあります。温泉、鍋料理、雪景色、こたつでの読書。これらは冬だからこそ味わえる贅沢です。
充電期間派:1〜2月を海外で過ごす
一方で、こんな考え方もあります。
- 1〜2月を「充電期間」として海外で過ごす
- 暖かい国で心身をリセットし、春夏に向けてエネルギーを蓄える
- リモートワーク時代だからこそ可能な、新しい働き方・生き方
「寒さから逃げる」というネガティブな表現ではなく、「人生を最大化させるための戦略的撤退」と捉えるわけです。
冬を海外で過ごすことで、春や夏の楽しさが際立つという考え方もできます。
リモートワーク時代の「冬逃避」は現実的か?
2月におすすめの暖かい国
Web検索で調べた結果、2月に暖かく過ごせる国は意外と多いことがわかりました。
【2月におすすめのワーケーション先】
| 国・地域 | 2月の気候 | 特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|---|
| タイ(バンコク、プーケット) | 乾季、快適 | 物価が安い、Wi-Fi環境良好、デジタルノマドビザ(DTV)あり | チェンマイやバンコクにノマドコミュニティが活発 |
| ベトナム(ホーチミン、ダナン) | 春の始まり、南部は乾季 | カフェ文化充実、物価が安い、人々がフレンドリー | 長期滞在でも飽きない文化的魅力 |
| フィリピン(セブ島) | 乾季のベストシーズン | リゾート感、費用を抑えやすい | ビーチとワークのバランスが最高 |
| インドネシア(バリ島) | 年間温暖 | デジタルノマドに超人気 | ウブドやチャングーにコワーキング多数 |
| ポルトガル(リスボン) | 温暖で過ごしやすい | デジタルノマドビザ(D8)取得しやすい、生活費手頃 | ヨーロッパの中では物価が安い |
| スペイン(バルセロナ) | 地中海性気候 | 2023年新設のデジタルノマドビザあり | 質の高い生活、コワーキング充実 |
| メキシコ(カンクン) | ベストシーズン | 北米と同じタイムゾーン、テンポラリーレジデントビザ取得可 | アメリカ企業と働くノマドに最適 |
| オーストラリア | 夏のピークシーズン | 南半球なので真夏 | シドニー、メルボルン、ゴールドコースト |
特にタイ、ベトナム、ポルトガルは、デジタルノマドビザが整備されており、長期滞在がしやすい環境です。

費用はどれくらいかかるのか?
「海外で1〜2ヶ月過ごす」と聞くと、莫大な費用がかかるイメージがありますが、実際はどうでしょうか。
【ワーケーション費用の目安(1ヶ月)】
東南アジア(タイ、ベトナム、フィリピンなど)の場合:
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 往復航空券(LCC利用) | 3万〜5万円 |
| 宿泊費(Airbnb、ゲストハウス) | 3万〜8万円(1泊1,000〜2,500円) |
| 食費(外食中心) | 3万〜5万円 |
| 通信費(SIM、モバイルWi-Fi) | 5,000〜1万円 |
| アクティビティ費 | 1万〜3万円 |
| 合計 | 約10万〜22万円 |
ヨーロッパ(ポルトガル、スペインなど)の場合:
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 往復航空券 | 8万〜15万円 |
| 宿泊費(Airbnb) | 8万〜15万円(1泊2,500〜5,000円) |
| 食費(自炊+外食) | 5万〜8万円 |
| 通信費 | 5,000〜1万円 |
| アクティビティ費 | 2万〜5万円 |
| 合計 | 約24万〜44万円 |
※為替レート、滞在スタイル、都市により大きく変動します。
東南アジアなら、日本で普通に生活するのと同じか、むしろ安く済む可能性があります。
特にタイやベトナムは、コワーキングスペースが1日500円程度、美味しい食事が300円程度で食べられるため、コストパフォーマンスが非常に高いです。
ビザの問題はどうする?
「海外でリモートワークするのに、ビザは大丈夫なの?」という疑問があると思います。
【デジタルノマドビザとは】
近年、多くの国がリモートワーカーを誘致するために「デジタルノマドビザ」を発給しています。
特徴:
- 観光ビザよりも長期間の滞在が可能(通常6ヶ月〜1年、延長可能)
- 滞在国での就労は認められず、国外からの収入が条件
- 一定以上の収入証明が必要な場合が多い
主要国のデジタルノマドビザ:
| 国 | ビザ名 | 滞在期間 | 収入要件 |
|---|---|---|---|
| タイ | Destination Thailand Visa (DTV) | 最長180日 | 月収約50万円以上 |
| ポルトガル | デジタルノマドビザ(D8) | 1年(延長可) | 月収が最低賃金の4倍以上 |
| スペイン | デジタルノマドビザ | 1年(延長可) | 月収約30万円以上 |
| メキシコ | テンポラリーレジデントビザ | 1年(延長可) | 収入証明必要 |
短期滞在(1〜2ヶ月)の場合: 多くの国では観光ビザで30〜90日間の滞在が可能です。ただし、観光ビザでのリモートワークについては各国で解釈が異なるため、事前に確認が必要です。
1〜2ヶ月程度の滞在なら、観光ビザで十分なケースが多いです。
ただし、「観光ビザでリモートワークをしていいのか」という法的グレーゾーンがあるため、デジタルノマドビザを取得する方が安心です。
実際に「冬逃避」を実行するとしたら?
私の場合のシミュレーション
私の状況で考えてみます。
前提条件:
- 会社員のWeb開発者
- リモートワークも可能
- 妻と子供3人(幼稚園児)
- 2月に有給を取る予定(幼稚園のオープン保育参観)
プラン案:
- 短期お試し(1週間): まずは家族で1週間、タイやベトナムに滞在してみる
- 中期滞在(2〜3週間): 子供たちの幼稚園の春休みに合わせて、2〜3週間滞在
- 長期滞在(1〜2ヶ月): 将来的に、1〜2月を丸ごと海外で過ごす
懸念点:
- 子供たちの教育(幼稚園を休ませることへの抵抗)
- 妻の理解(「日本人としてどうなのか」という価値観)
- クライアントとの時差(東南アジアなら2時間程度なので問題なさそう)
メリット:
- 冬季うつ病の予防
- 家族との濃密な時間
- 子供たちに多様な文化体験を提供
- 仕事の効率向上(温暖な気候での集中力)
「日本人としてどうなのか」という葛藤
正直、この葛藤は大きいです。
日本には「四季を楽しむ」「冬の厳しさを乗り越える」という美意識があります。それを放棄して「寒いから逃げる」というのは、どこか後ろめたい気持ちがあります。
でも、人生は一度きりです。
「侘び寂びを感じながら冬を耐える」のも一つの生き方ですが、「冬を海外で過ごして人生を最大化させる」のも、同じくらい価値のある選択肢だと思います。
特にリモートワーク時代の今、場所に縛られない働き方が可能になりました。この自由を活かさない手はありません。

冬を楽しむか、冬から逃げるか
両方試してみるのが正解かもしれない
結局、「侘び寂び派」と「充電期間派」のどちらが正しいかという問いには、明確な答えはありません。
どちらも正しいし、どちらも間違っていない。
大事なのは、自分の人生において何を優先するかです。
私の場合、今年はまず「短期お試し(1週間)」から始めてみようと思います。
家族でタイやベトナムに行って、実際に「冬逃避」を体験してみる。その上で、来年以降どうするかを考える。
「継続は力なり」の新しい解釈
下書きの最後に、私はこう書いていました。
「継続は力なり」ということで。一旦冷静になって、また明日以降に仕上げればいいので、今日はこのくらいにしておこうと思います。
この「継続」という言葉は、「同じ場所で同じことを続ける」という意味ではないと思います。
むしろ、「自分の人生を最大化させるために、柔軟に環境を変えながら続ける」という意味での継続もあるはずです。
冬の寒さで気合が入らないなら、暖かい場所に移動して仕事を続ける。それも立派な「継続」です。
まとめ:あなたはどちらを選びますか?
この記事では、「2月を海外で過ごす」という選択肢を、科学的根拠、費用感、ビザ情報、そして個人的な葛藤とともに考察しました。
侘び寂び派:
- 冬の厳しさを受け入れ、その中に美を見出す
- 四季の移ろいを全身で感じる
- 日本人らしい美意識を大切にする
充電期間派:
- 1〜2月を海外で過ごし、心身をリセット
- 冬季うつ病を予防し、春夏に向けてエネルギーを蓄える
- リモートワーク時代の新しい働き方を実践
どちらが正しいかではなく、あなたの人生において何を優先するかです。
私は今年、「短期お試し」から始めてみます。
あなたはどちらを選びますか?