働く 2025-12-26

「画像コーディング」は手抜き?それとも戦略?LP制作におけるメリット・デメリットを徹底解説

「画像コーディング」という言葉、聞いたことはありますか?

Web 制作の現場では、時として「手抜き」「邪道」と見なされがちなこの手法。しかし、ランディングページ(LP)の制作においては、あえてこの手法が選ばれることも少なくありません。

結論から言うと、「目的によっては最強の選択肢になるが、使い所を間違えると爆死する」諸刃の剣です。

この記事では、画像コーディングの基本から、プロが実践するメリット・デメリットのコントロール方法までを詳しく解説します。


画像コーディングとは?

画像コーディングとは、Web ページのコンテンツ(テキストや装飾)を HTML/CSS で構築するのではなく、Photoshop や Figma で作ったデザインをそのまま画像として書き出し、それを並べて表示する手法です。

極端な例で言えば、LP 全体を 1 枚(あるいは数枚)の巨大な画像として貼り付けるイメージです。

一般的なコーディングとの違い

  • 通常: テキストはテキストとして、背景は背景としてコードで記述する。
  • 画像コーディング: 全てが「絵」として処理される。ユーザーは文字をコピーできない。

なぜ選ばれるのか? 3 つの強力なメリット

「手抜き」と言われながらも、多くの広告運用 LP で採用されているのには理由があります。

1. 圧倒的な制作スピードと低コスト

HTML/CSS を緻密に書く必要がないため、工数が劇的に削減できます。 デザインさえあれば、数時間でページとして公開することも可能です。「明日までにキャンペーンページが必要!」というような緊急案件では救世主となります。

2. デザインの再現性が 100%

コーディングによる「デザイン崩れ」が起きません。 特殊なフォント、複雑なグラデーション、重なり合うレイアウトなど、CSS で表現するのが難しいデザインも、画像ならそのまま表示できます。デザイナーの意図を 1 ミリも損なわずにユーザーに届けられます。

3. クロスブラウザ対応が容易

「Chrome では綺麗だけど、Safari だとズレる……」といったブラウザ依存のトラブルがほぼ起きません。画像が表示できる環境なら、どこでも同じ見た目になります。


無視できない致命的なデメリット

一方で、無視できないリスクもあります。ここを理解せずに導入するのは危険です。

1. SEO(検索順位)に圧倒的に弱い

Google の検索エンジンは「文字」を読み取ってページの内容を理解します。画像化された文字は、検索エンジンにとっては「ただの絵」です。 そのため、SEO で上位表示を狙う記事やページには絶対に不向きです。

2. コンテンツの修正が面倒

「てにをは」を 1 文字直すだけでも、画像編集ソフトを開いて書き出し直し、アップロードし直す必要があります。CMS などでテキストをパッと直すわけにはいきません。

3. ページの読み込み速度が遅くなる(Core Web Vitals 悪化)

高画質の画像を多用するため、ファイルサイズが巨大になりがちです。 表示スピードが遅いと、ユーザーは中身を見る前に離脱してしまいます(直帰率の悪化)。


「画像コーディング」が許されるケース・ダメなケース

では、どのような時に採用すべきなのでしょうか?

✅ 向いているケース(GO サイン)

  • 広告流入がメインの LP: SEO を気にする必要がない(お金を払って集客する)場合。
  • 期間限定のキャンペーン: 短期間で制作し、終わったら閉じるページ。
  • デザイン重視のブランディング: 独特なフォントや世界観を絶対に崩したくない場合。

❌ 向いていないケース(STOP サイン)

  • SEO で集客したいブログやオウンドメディア: この記事のようなページ。
  • 更新頻度が高いページ: ニュースリリースやお知らせ。
  • アクセシビリティを重視する公共サイト: 音声読み上げソフトなどが機能しにくいため。

デメリットをカバーする「ハイブリッド」な対策

「画像コーディング」といっても、思考停止で画像を貼るだけではありません。プロは以下のような対策を行っています。

  1. Alt 属性(代替テキスト)を必ず入れる 画像の内容を説明する alt="" タグをしっかり記述します。これにより、検索エンジンに最低限の内容を伝え、音声読み上げにも対応できます。

  2. 重要なボタンやテキストだけ HTML にする 全てを画像にするのではなく、申し込みボタン(CV エリア)や、キャッチコピーの一部だけは HTML テキストで実装する「ハイブリッド型」が主流です。

  3. 画像の圧縮と遅延読み込み(Lazy Load) WebP 形式などの次世代フォーマットを使い、ファイルサイズを極限まで軽量化します。また、スクロールするまで下の画像を読み込まない「遅延読み込み」で、初期表示速度を守ります。


まとめ:適材適所で使い分けよう

画像コーディングは「悪」ではありません。「手段」です。

  • スピードとデザインを取りたいなら「画像コーディング」
  • 検索順位と運用性を取りたいなら「通常コーディング」

目的(ゴール)に合わせて最適な手段を選ぶことこそが、Web 制作のプロの仕事です。 もし LP 制作で迷ったら、「このページはどうやって人を集めるんだっけ?」と問い直してみてください。答えはそこにあるはずです。

※この記事も、実はアイキャッチ画像以外は全てテキストコーディングで作られています。SEO狙いですからね!