働く 2025-12-14

残業2時間vs定時退社+有給全消化。10年後の「自由時間」の差が衝撃的だった…

みなさん、今の働き方に満足していますか?

「毎日ちょっとなら残業してもいいか」 「有給休暇?忙しくて全部は使い切れないよ」

そんな風に思って働いている方は多いかもしれません。

実際、2024年のデータによると、日本の平均残業時間は月約21時間(doda調べ)、有給休暇の取得率は約65.3%(厚生労働省調べ)となっています。みんな「そこそこ残業して」「そこそこ有給を残している」のが現状です。

しかし、もし「残業をバリバリする人」「定時退社で有給を使い切る人」の間に、どれだけの「時間の格差」が生まれるか計算したことはあるでしょうか?

今回は、ちょっと恐ろしいけれど知っておくべき「人生の持ち時間シミュレーション」を行ってみました。

シミュレーションの条件

今回は、残業と有給の組み合わせで、以下の5つの働き方を比較します。 「⑤残業ゼロ・有給月2回」を理想のゴール(基準)として、他の働き方がどれだけ時間を失っているかを検証します。

レベル 残業時間 有給取得 備考
①ブラック 毎日2時間 0日 仕事人生。休まないし帰らない。
②グレー 毎日1時間 0日 定時では帰れないが、有給も取らない。
③定時マン なし 0日 毎日定時帰りだが、有給は使わない(遠慮or買取?)。
④ちょいホワ なし 月1回 定時帰り&たまに有給。
⑤天国(基準) なし 月2回 残業なし&有給もしっかり消化。

※1ヶ月の所定労働日数を20日、1日の所定労働時間を8時間と仮定します。 ※簡単のため、給料は全員「成果に対して支払われる」として同額と仮定します。

オフィスで残業する様子

結果1:1ヶ月の差

まずは1ヶ月働いた時点での、「⑤天国」との拘束時間の差を見てみましょう。

実質の労働時間計算

  • ①ブラック:(8時間+2時間) × 20日 = 200時間
  • ②グレー:(8時間+1時間) × 20日 = 180時間
  • ③定時マン:8時間 × 20日 = 160時間
  • ④ちょいホワ:8時間 × 19日 = 152時間
  • ⑤天国:8時間 × 18日 = 144時間

「⑤天国」との時間差

わずか1ヶ月でこれだけの差がつきます。労働時間(1日8時間)で換算すると、その差は歴然です。

  • ①ブラック+56時間7日分の労働!)
  • ②グレー+36時間4.5日分
  • ③定時マン+16時間2日分
  • ④ちょいホワ+8時間1日分

特筆すべきは、「③毎日定時で帰る人」でも、有給を取らないだけで⑤より毎月2日分も多く働いているという点です。定時退社はゴールではありません。有給消化こそが鍵です。

結果2:1年の差

1年間(12ヶ月)続けた場合の、⑤との累積時間差です。

  • ①ブラック:56h × 12 = 672時間(約4.2ヶ月分)
  • ②グレー:36h × 12 = 432時間(約2.7ヶ月分)
  • ③定時マン:16h × 12 = 192時間(約1.2ヶ月分)
  • ④ちょいホワ:8h × 12 = 96時間(約0.6ヶ月分)

※1ヶ月=20営業日(160時間)として換算。

衝撃的なのは、「③定時で帰っているのに有給を使わない人」は、年間で1ヶ月以上も⑤の人より多く働いている事実です。 そして①の人は、年間で4ヶ月以上、⑤の人より余分に会社にいます。 同じ1年でも、①の人は実質「16ヶ月」働いているようなものです。

自由な時間を楽しむイメージ

結果3:10年の差

最後に、10年間の積み上げです。人生の貴重な時間がどれだけ失われたかを見てみましょう。

レベル 失った時間(合計) 失った日数(8h換算) 労働年数換算
①ブラック 6,720時間 840日 3.5年分
②グレー 4,320時間 540日 2.25年分
③定時マン 1,920時間 240日 1年分
④ちょいホワ 960時間 120日 0.5年分
⑤天国 基準 - -

※1年=240営業日(1920時間)として労働年数に換算。

①ブラックの悲劇

①の人は、10年間で6,720時間を失いました。これを通常の労働時間で換算すると3.5年分に相当します。 つまり、⑤の人が10年働いた時点で、①の人は労働量だけで見れば「13.5年働いた」のと同じことになります。3年半の「タダ働き」です。

③定時マンの盲点

「俺は定時で帰ってるからホワイトだ」と思っている③の人も、10年経てば1年分の労働差がつきます。 ⑤の人が「10年のうち丸々1年間休んでいる」のと同じだけの時間を、③の人は勤務に費やしています。

③定時マンの盲点

「俺は定時で帰ってるからホワイトだ」と思っている③の人も、10年経てば1,920時間の差がつきます。 これは、⑤の人が「有給だけで約8ヶ月分の長期休暇」を楽しんでいる間に、③の人はその分すべて出勤していたことになります。 有給を使わないだけで、10年でこれだけの損をするのです。

結論:定時退社は「スタートライン」

今回のシミュレーションで、以下のランク付けが明確になりました。

  1. 残業をする(論外):人生の時間を大量にドブに捨てている。
  2. 定時&有給なし(惜しい):まだ損をしている。これがゴールではない。
  3. 定時&有給全消化(正解):ここを目指すべき。

特に声を大にして言いたいのは、「③定時で帰るけど有給は取らない人」への警告です。 「残業してないからいいや」ではなく、有給休暇を行使することで、さらに年間200時間近く自分の時間を取り戻せます。

まずは1つ上のランクへ

  • ①の人は②へ(残業を1時間減らす)
  • ②の人は③へ(定時で帰る)
  • ③の人は④へ(月に1回は有給を取る)

階段を1つ登るごとに、あなたの人生の持ち時間は劇的に増えます。

グラフで見る時間の比較


基本情報:今回のシミュレーションまとめ

記事内で算出した「10年間の時間損失」まとめです。

レベル 残業 有給 1ヶ月差(日) 1年差(ヶ月) 10年差(年)
①ブラック 2h/日 0日 +7.0日 +4.2ヶ月 +3.5年
②グレー 1h/日 0日 +4.5日 +2.7ヶ月 +2.25年
③定時マン なし 0日 +2.0日 +1.2ヶ月 +1.0年
④ちょいホワ なし 月1 +1.0日 +0.6ヶ月 +0.5年
⑤天国 なし 月2 0 0 0

※すべて「労働時間(1日8時間、月20日、年240日)」で換算した数字です。⑤の人と同じだけの自由時間を得るために、これだけ余分に会社に通わなければならない計算になります。

※このデータはWeb上の平均統計(doda、厚生労働省)を参考に、筆者が独自にモデルケースを設定して算出したものです。実際の労働条件は勤務先により異なります。

参考リンク