「プログラミング知識ゼロでもアプリが作れる?」
そんな夢のような話が、現実になろうとしています。 将棋界の絶対王者、藤井聡太竜王・名人が、最近「バイブコーディング(Vibe Coding)」にハマっているとニュースで報じられ、大きな話題となりました。
「スゴイ時代になったなー」と、私自身も感慨深く思っています。
今回は、この「バイブコーディング」とは一体何なのか、なぜ藤井聡太さんがハマっているのか、そして私たちがどう活用できるのかを、実際に制作実績管理ツールを作ってみた経験も交えて解説します。
バイブコーディングとは?
バイブコーディング(Vibe Coding)とは、細かいプログラミング言語の文法(Syntax)を気にせず、「こんな感じ(Vibe)で動いてほしい」という自然言語の指示をAIに与えてコードを書かせる、新しい開発スタイルのことです。
元TeslaのAI責任者であるAndrej Karpathy氏が提唱し、爆発的に広まりました。
- 従来:コードを一行ずつ手書きし、文法エラーと戦う。
- バイブコーディング:AIに「ポモドーロタイマー作って」と頼み、エラーが出たら「直して」と言うだけ。
つまり、「監督(人間)」と「優秀な作業員(AI)」という関係性で開発を進めるのです。
藤井聡太さんがハマる理由
藤井聡太さんはインタビューで「AMDのCEOと対談した際にPCを自作したこと」や「将棋AIの開発」に触れていますが、最近ではプログラミングそのものよりも、「作りたいものをAIと一緒に形にするプロセス」を楽しんでいるようです。
将棋の読みと同じで、AI(ツール)をどう使いこなして最適解(動くアプリ)を導き出すか、という思考プロセスが似ているのかもしれませんね。
オススメのバイブコーディング・ツール
では、実際にどのようなツールを使えばバイブコーディングができるのでしょうか?
1. Cursor(カーソル)
現在最も人気のあるAI搭載コードエディタです。VS Codeをベースにしており、チャット欄に「このバグ直して」と書くだけで、ファイル全体を修正してくれます。
2. Antigravity(アンチグラビティ)
Google DeepMindチームが開発している高度なエージェント型AIコーディングアシスタントです。 単なるコード補完だけでなく、ブラウザの操作やコマンド実行、複数ファイルの同時編集など、まるで人間のペアプログラマのように振る舞います。私もこの記事の構成やリサーチに活用しています。
3. Windsurf / GitHub Copilot
その他の選択肢として、Windsurfや定番のGitHub Copilotなども進化を続けています。
実際にツールを作ってみた
私も流行りに乗って、社内の「制作実績管理ツール」をバイブコーディングで作ってみました。
結論から言うと、「誰でも作れるけど、実用レベルにするにはコツがいる」です。
できたこと
- データベース不要のシンプルな一覧画面
- 画像のアップロード機能
- 検索フィルター
これらはプロンプト一発、数分で完成しました。
難しかったこと
- サーバー公開:作ったものを他人が使えるようにネット上に公開(デプロイ)する手順は、知識がないと少しハードルが高いです。
- セキュリティ:社外秘の情報をどう扱うか悩みます。
知っておくべき注意点(VIO=Very Important Opinion)
バイブコーディングは魔法のようですが、「利用上の注意」もあります。特にデリケートな部分(セキュリティや品質)には細心の注意が必要です。
1. デリケートな情報の取り扱いに注意(VIOのV)
Vulnerable (脆弱)な情報の入力 AIにコードを書かせる際、APIキーやパスワード、個人情報、社外秘データをそのままプロンプトに入力してはいけません。学習データに使われるリスクがあります。 デリケートゾーン(機密情報)は、必ず隠すか、環境変数(.env)に分けるなど、適切な「ガード」を装着しましょう。
2. 「動くけど読めない」コードの量産(VIOのI)
Incomprehensible (理解不能)なコード AIが出力したコードは動くかもしれませんが、中身がスパゲッティ状態(絡まりあった状態)になっていることがあります。 後で修正しようとした時に「誰も直せない」という状況になりがちです。定期的にAIに「コードを整理して(リファクタリングして)」と指示することも大切です。
3. 混雑時のルール(VIOのO)
Overreliance (過度な依存) AIサーバーが混雑していると、レスポンスが遅くなったり、回答精度が落ちたりします。 また、AIは平気で嘘をつく(ハルシネーション)ことがあります。「AIが書いたから正しい」と過信せず、必ず人間が最終チェック(動作確認)を行うルールを徹底しましょう。
まとめ:全身これ1本、ではないが強力な武器
バイブコーディングは、すべてを全自動でやってくれる魔法の杖ではありませんが、我々の手足を何倍にも拡張してくれるパワードスーツのようなものです。
- 作りたい・試したいを爆速で実現できる。
- エンジニアはよりクリエイティブな設計に集中できる。
- 非エンジニアは「動くモックアップ」を自分で作れる。
藤井聡太さんのように、まずは「遊び感覚」で触ってみるのが一番の上達法かもしれません。
詳細情報セクション
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | バイブコーディング (Vibe Coding) |
| 提唱者 | Andrej Karpathy (元Tesla AI責任者) |
| 主なツール | Cursor, Windsurf, Antigravity |
| 推奨スペック | 基本的なPCがあればOK(処理はクラウドで行われるため) |
| 価格帯 | 基本無料〜月額$20程度(Proプラン) |
| 注意点 | 生成コードの著作権・セキュリティリスクは自己責任で確認が必要 |
※本記事は2025年12月時点の情報に基づいています。ツールの仕様や価格は変更される可能性があります。