会社から「令和 7 年分 給与所得の源泉徴収票」を受け取って、「おっ、お金が戻ってきた!」と喜んでいる方、あるいは「見方がよく分からないまま引き出しにしまった」という方。
その源泉徴収票には、あなたの1 年間の働きと、来年の税金の運命がすべて書かれています。
特に今年は、
- 「還付金で数万円戻ってきた!」
- 「源泉徴収税額が 0 円になってるけど大丈夫?」
というケースについて、その仕組みと注意点を「超」分かりやすく解説します。 実は「今年税金が安かった人」ほど、来年の住民税に注意が必要かもしれません。
1. そもそも「還付金」はなぜ戻ってくる?
「年末調整で 10 万円戻ってきた!ボーナスだ!」 そう思うのも無理はありませんが、これはボーナスではありません。「あなたが国に払いすぎていたお金」が返金されただけなのです。
仕組みはシンプル
会社員の場合、毎月の給料から税金(所得税)が天引きされています。しかし、この天引き額はあくまで「概算(仮の金額)」です。
- 毎月: 「だいたいこれくらいだろう」と多めに税金を引く。
- 年末: 1 年間の正確な給料と、使える「控除(扶養や保険など)」が出揃う。
- 精算: 「本来の税金」を計算し直す。
- 引きすぎていた場合 👉 「還付金」として戻る
- 足りなかった場合 👉 追加で徴収される
特に、扶養家族が増えたり、生命保険料控除を申告したりした場合、毎月の天引き額よりも「本来の税金」が安くなるため、差額がドカッと戻ってくることが多いのです。
2. 源泉徴収票のここだけ見よう(3 つのポイント)
細かくて見づらい源泉徴収票ですが、見るべきポイントは 3 つだけです。

① 支払金額 = 「年収」
一番左上の大きな数字。これがあなたの「額面の年収」です。手取りではなく、税金や保険料が引かれる前の金額です。
② 源泉徴収税額 = 「今年の所得税」
一番右端の数字。これが「最終的に国に納めた所得税の金額」です。 年末調整の結果、ここが「0 円」になっている人もいます。
③ 摘要欄 = 「控除の内訳」
配偶者の有無や、扶養親族の氏名などが書かれています。ここに間違いがないか必ず確認しましょう。
3. 「所得税 0 円」なら「住民税」も 0 円?
ここが最大の勘違いポイントです。 源泉徴収税額が「0 円」だったとしても、来年の住民税が 0 円とは限りません。
税金には「時差」がある
- 所得税: その年の稼ぎに対してかかり、年末調整で完結する。
- 住民税: 前年の稼ぎに対してかかり、翌年の 6 月から支払いが始まる。
つまり、源泉徴収票(所得税)の結果がいくら良くても、それはあくまで「国への税金」の話。 「住民税」はこれから計算され、半年後に請求書(または天引き通知)がやってきます。
特に注意が必要なのが、以下のパターンです。
ケーススタディ:育休明けの場合
「今年は 1 月から復職してフルタイムで働いた。でも住民税が引かれていない?」
これは、「去年(育休中)の収入が少なかったから」です。 住民税は「去年の収入」で決まるため、去年稼いでいなければ、今年払う住民税は安く(あるいは 0 円に)なります。
しかし、今年はフルタイムで働いています。 ということは、今の稼ぎに対する住民税は、来年(2026 年)の 6 月からドカンとやってくるということです。
「今年は手取りが多いな」と油断して使いすぎると、来年 6 月の手取り減に愕然とすることになります。今のうちに備えておきましょう。
4. 今年「所得税 0 円」だった人のふるさと納税戦略
「所得税が 0 円(または少額)」だった場合、今年のふるさと納税はどうすべきでしょうか?
結論:今年は控えて、来年に備えるのがベター
ふるさと納税のメリットは「所得税と住民税から控除される(税金が安くなる)」ことです。 しかし、そもそも税金を払っていない(所得税 0 円、住民税も少額)状態では、控除する元手がありません。
無理に寄付をしても、単に「定価で高いお肉を買った人」になってしまいます。
狙い目は「来年」
逆に言えば、今年しっかり働いて年収が戻った人は、来年(2026 年)こそがふるさと納税のチャンスです。 来年は住民税がしっかり発生するため、その税金をふるさと納税で「前払い」し、返礼品をもらうのが最も賢い節税(家計防衛)策になります。
まとめ
源泉徴収票は、単なる紙切れではありません。 「還付金」と書かれていたら、それは自分が国に貸していたお金が戻ってきた証拠。 そして「源泉徴収税額」を見れば、今年どれだけ税金を納めたかが分かります。
- 還付金があった 👉 年末調整成功!
- 税金が 0 円だった 👉 ラッキー!でも来年の住民税に向けて貯金しておこう。
この 2 点を忘れずに、賢く 2026 年を迎えましょう。
💡 TIPS:
源泉徴収票は、住宅ローン審査や保育園の申請、転職などで原本やコピーが必要になることがあります。捨てずに保管するか、スマホでスキャンしてGoogleドライブなどに保存しておくのをおすすめします。